一般社団法人B-box
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わたしたちは
ボクシングを
あきらめない

東京、昭島駅近くの静かな住宅街の一角に少し変わったボクシングジムがある。

週末になると、若者に混じり白杖をつく方や車椅子に乗った方がこの場所を訪れる。

ある方は両目にアイマスクをつけ、ある方は首から鈴をつけ、ある方は車椅子にのりながら、
両手にバンテージを巻き、グローブをはめ、ボクシングの練習に励む。

ここは日本で唯一の障がい者支援を目的にしたボクシングジム。
そしてこの場所を作ったのが、元プロボクサーの村松竜二だ。

村松竜二story

1992-1994

「竜の爪」の誕生

1992年、村松竜二18歳、石川ジムよりプロデビュー。
順当に勝ち上がり、ボクサーとして順風満帆かと思われた村松だが、1994年、トラックの巻き込みによるバイク事故により、左手の4本の指の腱を切り、左手首が曲がらない障がいを負う。

誰もが引退だと思われた怪我にも関わらず村松は現役を続行。右手一本でプロボクサーとして戦い続けることを選択する。
ハンデをカバーするように磨き抜いた右腕から繰り出されるストレートを、オーディエンスはいつしか「竜の爪」と呼んだ。

1996-2004

引退

1996年、日本タイトルマッチにて元WBA世界スーパーフライ級王者の戸高秀樹に挑戦。惜しくも判定負けを記す。
以後も左手は完治することなく、2002年、今度は試合中に右目眼底骨折の重傷を負う。

それでも村松は諦めず現役を続行した。右目が見えない、左手が使えない状態での試合が続き、2004年30歳の年に現役引退を決断。それまでの左手の手術は4回にのぼる。

目が見えない、
左手が使えない、
年齢などを言い訳にしたくない。

ハンデがあっても
『やればできる』ことを
見せたかったんです。

2006

障がい者支援との出会い

引退後、ボクシングを続けたかった悔しさを紛らわせるかのように、村松はアマチュアボクシング「おやじファイト」に身を投じる。

その活動の傍ら、ある時友人の紹介で障がい者の自立支援塾を訪れる。
そこで彼が出会ったのは、障がいを持つ者も、サポートする者もいっしょになって、ひたむきにスポーツに取り組む姿だった。自分自身も障がいと向き合いながらボクシングに取り組んできた村松にとって、その様子は心に響いた。
それはもどかしい気持ちに、光が射した瞬間だった。

以降、村松はボクシングを通した障がい者のためのボランティア活動を開始する。

自立支援活動

自立支援活動とは障がい者の日常生活における自立や社会参加を目的に、主体的に改善・克服するために必要な知識、技能、態度及び習慣を養い、それをもって心身の調和的発達の基盤を培う活動である。

村松はボクシングを通じ、拳を通じた他者との関係性や「強くなりたい」という向上心からの自発的な喚起を促すことで、障がい者に対し運動支援を行う。

自分が輝くのではなくて、
障がい者の皆を
輝かせることによって、
自分自身もまた
輝けるのではないか
と気がつきました。

2018

一般社団法人B-boxの発足

2018年、村松はそれまでに自身が行ってきたボランティア活動である【障がい者ボクシング指導・青少年健全育成・自立支援・ブラインドボクシング®指導活動】を行う支援活動団体として一般社団法人B-boxを発足した。

障がい者の方々にボクシングを通して自信を付けてもらう場を作りたいと考え、その活動拠点としてD&Dボクシングジムを開設。またブラインドボクシング®協会の関東支部としても活動を行う。

こうした障がい者支援を目的としたボクシングジムは日本初として、各種メディアに取り上げられていくようになる。

2020

展望

こうした村松の活動は徐々に知名度を上げ、B-boxには多くの障がい者の方から問い合わせが来るようになる。

しかし人手や資金不足より土日フルでの活動が精一杯であり、全員を受け入れきれないのが実情だ。日本にはこういった支援活動を行なっているボクシングジムはまだ無い。

より多くの方に
活動を知ってもらいたい。
関わってもらいたい。
活動の輪が広がれば、
社会はもっとよくなるのではないか。
そう思っています。

ブラインドボクシング®︎とは

  1. 01準備

    視覚障がい者の相手役を務める晴眼者は鈴付きのひもを首にかけ、視覚障がい者の方はアイマスクを着用します。

  2. 02試合開始

    アイマスクをつけた方は、相手の鈴の音を頼りにパンチを打ち込みます。一般的なボクシングのように殴り合うわけではありません。

  3. 03採点での勝敗

    1ラウンド2分間で、フットワークやパンチの有効性、コンビネーションなど3人のジャッジによる採点を行います。その合計点の高い選手が勝者となります。

  4. 04誰でも参加可能

    アイマスクを着用すれば、誰でも競技に参加することが可能です。

ジムを訪れる人々

01

Interviewもっとボクシングを
極めたい

関さん(ブラインドボクシング歴:1年/弱視)

生まれつき目は悪かったのですが、昔はまだサッカーとかスノボーができました。
ですが、じょじょに病気が進行していってスポーツをやるのが難しくなってきました。それでも自分が続けられるスポーツをさがしていて、そのときに、ブラインドボクシング®に出会いました。

今は、大会があれば出場して、優勝したい、と目的をもってジムに通っています。
最近、自分の姿をきっかけにして、ウチの長男がボクシングを始めました。はじめてなにかに打ち込むっていう姿勢を見せてくれた。それが嬉しいです。
今では私のトレーナーとしてミットを持ってくれています。

02

Interview到達するまでの
日々を充実させる

濱田さん(ブラインドボクシング歴:2年/全盲)

はじめは、大会でいい成績を収めるとか、なにかができるようになるっていうのが目標かな、と思っていました。
でもそうではなくて、そこに到達するまでの日々を充実させるほうが目的だと、最近よくわかってきました。

このボクシングジムは楽しい場所で、ボクシングの好きな人が集まっています。
つながりはそこだけなんですけど、そこがブレないので、しんどい練習があったとしても、最終的には楽しいですね。

03

Interview仲間との繋がり、
継続することの大切さ

木村さん(ボクシング歴:8年)

きっかけは、ボクシングで支援活動が出来ると知り、役に立ちたいと思ったからです。それで、支援活動を手伝わせて欲しいとアポ無しでジムに行きました。最初は不審者と思われたらしく、話をしてもらえませんでした(笑)

今はボクシングを通して、ボクシングの爽快感、仲間との繋がり、継続することの大切さを伝えていきたいと思っています。
誰でも少しのサポートがあれば何でも出来ます。一緒にボクシングを楽しみましょう!

Message

「イギリス障がい者スポーツ協会設立者ルートヴィヒ・グッドマンの言葉で『失ったものを数えるな。残されたものを最大限に生かせ』という言葉があります。

私自身、左手を失って戦ってきました。ブラインドボクシング®は視力を失ってもルールの中で戦うことができます。
自立支援に参加の障がい者の方も、健常者同様にトレーニングを行えます。

少しの補助で何でもできる。
その体験は日常への自信になります。可能性はまだ無限であると知ってもらいたいです。

村松竜二

支援のお願い

現在、一般社団法人B-boxでは活動の輪を全国に広めるため、我々の活動に賛同、ご協力頂ける方、団体、企業様を探しています。

賛助会員様にはジムでの名入れ、インターネットでの相互リンクの他、活動の報告や大会の告知、自立支援活動参加による企業の社員教育など、ご希望がありましたらご案内を差し上げています。詳細については下記問い合わせフォームに要項をご明記頂き、ご返信をさせて頂きます。

また障がい者の受け入れも随時行なっておりますので、活動に参加をされたい方はお気軽に下記までお問い合わせください。